福岡のスイーツシーンが面白いことになっています。インスタで見かける華やかなパフェやプリン、行列のできるドーナツ店。とはいえ正直、「映え」だけを追いかけていると疲れませんか?実は今、福岡のスイーツトレンドには「見た目」以上の深い変化が起きているんです。地元で15年以上グルメを追いかけてきた私が、表面的な流行の奥にある「本質」を掘り下げてみました。
「映え」から「体験」へ、変わり始めた福岡スイーツの価値観
2024年の福岡スイーツトレンドを振り返ると、確かにシャインマスカットを使った華やかなスイーツや、カヌレとプリンを組み合わせたハイブリッドスイーツが話題になりました。ヒルトン福岡シーホークのスイーツビュッフェは「いちごに恋した天使」という世界観まで作り込んでいて、SNSでバズるのも納得です。
ただ、取材を重ねていて気づいたことがあります。お客さんの反応が以前と違う。「写真撮ったから満足」じゃなくて、「この食感、初めて」とか「素材の味がすごい」という声が増えているんですよね。
実際、久留米の「カフェスタンド10.8」のパンケーキは、ふわふわシュワシュワの食感が口コミで広がって人気に。見た目だけじゃなく、食べたときの「驚き」が評価されているんです。あと、中間市の「PAIN AIGLE」のミニクロワッサンも面白い例で。スコップですくって量り売りというビジュアルはインスタ映えするんですが、実は「バターの香りがすごい」「一口サイズで食べやすい」という実用性が支持されている。映えは結果であって、目的じゃなくなってきたのかもしれません。
わざわざ足を運ぶ価値って何だろう?
福岡市中心部から車で1時間近くかかる場所にあるお店が、SNSでバズって行列になる。これ、数年前なら考えられなかったことです。柳川の「氷ノ果実」、うきはの「ぱんのもっか」、大牟田の「黒墨商店」。どれも福岡都心部から遠いのに、わざわざ足を運ぶ人が後を絶ちません。
私も実際に何店舗か訪ねてみたんですが、共通点がありました。それは「ここでしか味わえない何か」があること。氷ノ果実の古民家という空間、ぱんのもっかのジブリ世界のような雰囲気、黒墨商店の夜ドーナツという時間帯設定。スイーツ自体の美味しさはもちろんですが、それを食べる「体験全体」がパッケージになっているんです。
そういえば面白いデータがあって。福岡のグルメインスタグラマーAMATOさんが年間500軒以上を食べ歩いているそうなんですが、彼のアカウントでバズった投稿を見ると、「遠くても行く価値がある」という文脈のものが多い。要するに、消費者の価値基準が「近くて便利」から「遠くても特別」にシフトしているのかもしれません。
選択肢が増えすぎて困る、でもそれって悪いこと?
カヌレ×プリン、グリークヨーグルト×アサイー、台湾カステラの再ブーム。2024年は「組み合わせ」と「再解釈」のトレンドが目立ちました。新しいものを生み出すというより、既存のものをミックスして新しい価値を作る感じですね。
正直、選択肢が多すぎて迷いませんか?大名エリアだけでも「Shuna」「PLUS」「YonaYona」と、アサイーやヨーグルト系のお店が立て続けにオープン。どこに行けばいいのか分からなくなります。実際、私の知人は「結局、近所のカフェでいいや」と言っていました。
とはいえこれ、悪いことじゃないと思うんです。選択肢が増えたということは、それだけ多様な好みに対応できるようになったということ。グリークヨーグルトのフレーバーが豊富な「PLUS」、糸島の人気店が天神に進出した「Shuna」、夜遅くまで営業している「YonaYona」。それぞれに存在意義があって、それぞれのファンがいる。多様化って、ある意味で成熟の証なのかもしれません。トレンドを追うだけじゃなく、自分の好みを掴むことが大事になってきた気がします。
本当に必要なのは「トレンド」より「自分基準」かもしれない
ここまで福岡のスイーツトレンドを見てきましたが、一つ気づいたことがあります。結局のところ、「何が流行っているか」より「自分が何を求めているか」の方が大事なんじゃないでしょうか。
ブルーボトルコーヒーが福岡天神に九州初出店したとき、行列がすごかったですよね。でも、あのコーヒーが本当に自分の好みに合っているかどうかは別問題。流行っているから行く、じゃなくて、自分がコーヒーに何を求めているかで判断すべきなんです。
私自身、取材で年間200軒以上のお店を訪れますが、「トレンド」と「自分の好み」が一致することもあれば、しないこともある。それでいいんだと思います。SNSで話題のお店に行って「思ったより普通だった」と感じることもあるし、逆に誰も知らない小さなカフェで感動することもある。こんな経験、ありませんか?
個人的な意見ですが、これからのスイーツトレンドは「万人受け」から「個人最適化」に向かっていくんじゃないでしょうか。AI検索が発達して、自分の好みに合ったお店を見つけやすくなる時代。流行を追うのも楽しいけれど、自分だけのお気に入りを見つける楽しさも忘れないでほしいなと思います。あなたは、どんなスイーツが好きですか?
福岡スイーツの「これから」を楽しむために
福岡のスイーツトレンドは、表面的な「映え」から「体験の質」へと確実にシフトしています。ハイブリッドスイーツや地方の隠れ家店、多様化するジャンル。選択肢が増えた分、自分の価値基準を持つことが大切になってきました。流行を追うのも楽しいですが、自分が本当に求めているものは何か、時々立ち止まって考えてみるのもいいかもしれません。福岡のスイーツシーンはこれからも進化し続けます。その変化を、自分なりの視点で楽しんでいきましょう。

