福岡の通勤文化が東京と違いすぎた件

暮らす福岡

東京から福岡に移り住んで、まず驚いたのが通勤時間の短さでした。片道1時間が当たり前だった東京の感覚で「通勤1時間です」と言うと、「え、それ大変じゃない?」と心配されます。福岡の人にとって、通勤1時間は「遠い」のです。実はこの違い、単なる距離の問題ではなくて、都市の成り立ちや働き方の文化まで関わっている話なのです。今回は、データと実体験を交えながら、福岡の通勤文化について掘り下げていきます。

福岡の通勤時間、全国トップクラスの短さ

総務省の社会生活基本調査によると、福岡市の平均通勤・通学時間は約30分程度です。東京の約60分と比べると半分なのです。しかも世界の主要都市と比較しても、福岡はかなり短い部類に入ります。

個人的に面白いなと思ったのは、この数字が「平均」だということです。もっと短い人も相当数いるわけです。実際、福岡で知り合った人に聞くと「自転車で15分」とか「地下鉄で2駅」みたいな答えが普通に返ってきます。東京だと「ドア to ドアで1時間半」とか言っても驚かれないのに、この差はなんなのでしょう。

ちなみに、福岡市が「コンパクトシティ」を掲げているのも、この短さと関係しています。天神や博多といったビジネス街と住宅地の距離が近いのです。地下鉄も七隈線と空港線がきれいに街をカバーしていて、主要エリアなら20分圏内でほぼどこにでも行くことができます。バスも本数が多く、都市設計としては、かなり計算されている感じがします。

「車通勤」という選択肢の存在感

東京との大きな違いがもう一つ、それは「車で通勤する人」の割合です。

東京だと満員電車が当たり前で、車通勤なんて役員クラスじゃないとまず考えません。駐車場代も高いし、渋滞もひどいです。でも福岡は違うのです。ファーム施設がある筑後方面とか、郊外に勤務先がある人は普通に車で通っています。駐車場も東京ほど高くないし、道路もそこまで混みません。

知り合いのホークスファンは「試合観戦の後、そのまま車で帰れるのが最高」と言っていました。確かに、終電を気にせず過ごせるのは羨ましいかぎりです。東京だと終電を逃したら高いタクシー代か漫画喫茶です。

面白い話を聞いたのですが、福岡の人は「通勤定期」を持ってない人も結構いるらしいのです。車だったり、短距離で歩きや自転車だったり、というのは東京では考えられない感覚です。定期券は社会人の必需品だと思っていたので、これは軽いカルチャーショックでした。

通勤が短いと生まれる「時間の余裕」

通勤時間が短いと、何が変わるでしょうか。答えは単純で「自由な時間が増える」のです。

東京で片道1時間かけて通勤していると、往復で2時間、週5日働くとして、月に約40時間も通勤に使っている計算になります。けっこうな時間です。もし福岡で片道30分なら、月20時間で済みます。差額の20時間で何ができるかは自分次第です。趣味に使えるし、家族と過ごせるし、場合によっては副業だってできます。

実際、福岡の人と話していると「朝ゆっくり準備できる」とか「夜に予定を入れやすい」という声をよく聞きます。東京だと定時で終わっても、家に着くのは19時過ぎです。でも福岡なら18時半には帰宅できたりします。この1時間の違いが大きいのです。

それと、通勤ラッシュのストレスが少ないのも大きいです。満員電車で体力を消耗することがないので、仕事に集中できるし、プライベートも充実します。「通勤疲れ」という言葉、福岡ではあまり聞かない気がします。

この余裕が福岡の「住みやすさ」につながってるのじゃないでしょうか。時間的余裕は精神的余裕にも直結する(ん)のです。

リモートワークとの相性も良好?

コロナ以降、リモートワークが定着した会社も増えました。とはいえ「通勤時間が短い福岡」だと、リモートワークの必要性が薄いのではないか、と最初は思っていました。ところが、実際はそうでもないみたいです。

福岡でも「リモートワーク可」の求人は増えているし、週2〜3日だけ出社するハイブリッド型も普通になってきています。理由を考えてみると、通勤時間が短いからこそ「出社とリモートを柔軟に使い分けやすい」のです。東京だと「リモート一択」になりがちなのは、片道1時間かけて週5日出社がキツいからです。ただ福岡なら「今日は打ち合わせがあるから出社しよう」「明日は集中作業だから在宅で」と、ストレスなく選べます。通勤のハードルが低いと、こういう働き方の自由度にもつながるのだなと気づきました。

さらに言えば、福岡はスタートアップ企業も多くて、柔軟な働き方を推奨している会社が結構あります。tsumugみたいに「街中に通勤する文化を変える」ことを目指している企業も出てきています。これからの働き方を考える上で、福岡はかなり面白いフィールドなのかもしれません。

「通勤文化」から見えてくる福岡の魅力

東京から来た当初は「通勤1時間が遠い扱い」されることに違和感がありました。ただ今は、この感覚こそが福岡の良さなのだと思っています。

通勤時間が短いということは、街がコンパクトで機能的だということです。生活に必要なものが近くに揃っていて、移動のストレスが少ないし、何より、自分の時間を大切にできる環境があります。これが東京で失いがちだった「余裕」なのだと思います。

選択肢の多さとか、刺激の豊富さとか、東京には東京の良さがあります。でも「毎日を快適に過ごす」ことを重視するなら、家賃も安いし、外食も手頃だし、福岡の通勤文化はかなり魅力的です。

通勤時間が短いぶん、街を散策したり、新しいうどん屋を開拓したりする時間もできました。もしあなたが福岡への移住や転職を考えているなら、この「通勤の短さ」は思った以上に生活を変えてくれるかもしれません。データだけじゃ伝わらない、実際に暮らしてみて初めてわかる快適さがあります。

福岡の通勤文化、体験してみる価値あり

福岡の通勤時間は全国トップクラスの短さです。平均30分程度という数字の裏には、コンパクトな都市設計と充実した公共交通、そして車通勤という選択肢の存在があります。この「短さ」がもたらすのは、単なる移動時間の削減だけではなくて、自由な時間の増加とストレスの軽減です。結果として、仕事もプライベートも充実させやすい環境が生まれています。東京との比較で言えば、月20時間の差は決して小さくありません。リモートワークとの相性も良く、これからの働き方を考える上で福岡は注目のエリアです。通勤文化一つとっても、福岡の魅力が見えて(くる)きます。

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