福岡城跡、実は天守があった説も?歴史の謎を歩く

歩く福岡

福岡市の中心部、大濠公園のすぐそばに広がる福岡城跡。桜の名所として知られるこの場所ですが、実は「天守閣があったのか、なかったのか」という歴史の謎が今も議論されているんです。黒田長政が築いた名城の痕跡を辿りながら、400年の時を超えた物語に触れてみませんか。石垣と堀に囲まれた舞鶴公園を散策すれば、きっと戦国の息吹を感じられるはず。

黒田長政が築いた大城郭の全貌

関ヶ原の戦いで功績を上げた黒田長政が、筑前52万石の領主として1601年から築城を始めたのが福岡城です。完成まで7年もの歳月をかけたこの城、実は相当な規模だったんですよ。

本丸、二の丸、三の丸を含めた縄張りは約24万平方メートル。47基もの櫓と10棟の城門を配した梯郭式平山城でした。東側は那珂川を天然の堀として活用し、西側は干潟を大きな池沼堀にするという、地形を巧みに利用した設計。かなり戦略的ですよね。

現在は舞鶴公園として整備されていますが、石垣や縄張りはほぼ当時のまま残っています。明治維新後に建物の大半は失われてしまったものの、多聞櫓などの重要な建造物が今も現存しているんです。国の史跡に指定されているのも納得。正直、都心にこれだけの規模の城跡が残っているって、かなり贅沢なことだと思います。

天守閣の謎――あったのか、なかったのか

福岡城で最も興味深いのが、天守閣の存在をめぐる論争です。従来の定説では「天守閣は造られなかった」とされてきました。1646年の古い絵図『福博惣絵図』に天守が描かれていないこと、それと江戸幕府への遠慮から建てなかったという説が有力だったんですよね。

ところが。面白いことに、近年になって興味深い史料が発見されたんです。小倉藩主だった細川忠興が息子に宛てた1620年の手紙に「黒田長政が天守を取り壊すと語った」という記述があったんですよ。これって、つまり天守が存在していた可能性を示唆しているわけです。想像できますか?

築城から十数年後に取り壊したのではないか、という新説が浮上しています。当時は大坂城の普請に諸大名が駆り出されていた時期。天守を解体して築城資材として提供することで、幕府の信頼を得ようとしたのかもしれません。天守台は現在も残っていて、大・中・小の3つが連なる連立式になっています。石垣からは瓦片も出土しているので、何らかの建物があったことは確実なんです。真相はどうなんでしょうね。個人的には、あった説のほうがロマンを感じますが。

春は桜、秋は紅葉。四季を楽しむ城跡散策

福岡城跡の魅力は歴史だけじゃありません。四季折々の自然が楽しめる公園としても、地元の人たちに愛されているんです。

特に有名なのが春の「福岡城さくらまつり」。ソメイヨシノをはじめとする桜が満開になると、もう圧巻ですよ。夜間はライトアップも実施されて、石垣と桜のコラボレーションが幻想的な雰囲気を作り出します。桜園、多聞櫓、御鷹屋敷跡の3つのライトアップエリアは有料ですが、見る価値は十分にあると思いますよ。グルメ屋台も多数出店するので、お花見しながら福岡の味覚を楽しめるのもいいですよね。おまけにBBQができるお花見広場もあるそうで、かなり充実しています。

それと、秋になると堀の周辺が紅葉で色づくんです。桜ほど派手ではないものの、落ち着いた風情があっていいんですよ。城内には万葉歌碑もあって、文学散歩にもぴったり。大濠公園や福岡市美術館も隣接しているので、一日たっぷり過ごせますね。意外と知られていませんが、堀には県指定天然記念物のツクシオオガヤツリという珍しい植物も自生しているんです。

見どころは多聞櫓と現存する建造物たち

城跡を訪れたら、ぜひチェックしておきたいのが多聞櫓です。国の重要文化財に指定されているこの櫓、なんと江戸時代の姿のまま現存している唯一の建造物なんですよ。南西角にある二重二階の隅櫓と、長さ約54メートルに及ぶ西平櫓が一体となった構造。内部は16の部屋に分かれていて、平時は倉庫として使われていたそうです。1854年に大改修を受けているものの、基本的な造りは当時のまま。石垣の上に建つ姿は、かなり風格がありますよね。

あと、伝・潮見櫓や下之橋御門も見どころです。下之橋御門は2000年に不審火で一部焼失してしまったんですが、2008年に本来の二層櫓門の姿に復元されました。藩主の出入りや公式行事に使われた格式高い門だったとか。祈念櫓は鬼門封じのために建てられた珍しい櫓で、一度は北九州の大正寺に移築されていたものを、1983年に元の位置に戻したという経緯があります。

ちなみに名島門という移築された門も城内にあって、これは黒田長政が名島城から持ってきたものなんです。歴史の重層性を感じますね。

アクセス抜群、都心のオアシスへ

福岡城跡の魅力の一つが、そのアクセスの良さです。地下鉄「赤坂駅」や「大濠公園駅」から徒歩約8分。しかも天神からも歩いて15分ほどなので、観光の合間にふらっと立ち寄れるんですよね。

城内には「福岡城むかし探訪館」という施設があって、CGで再現された福岡城の映像が見られます。あの謎の天守閣も映像には登場するんですよ。歴史好きなら必見でしょう。鴻臚館跡展示館も併設されていて、平安時代の外交施設だった鴻臚館の遺構を見学できます。福岡が古代から国際都市だったことを実感できる場所です。

駐車場も城内に約450台分あるので、車でのアクセスも便利。ただ、桜まつりの時期は混雑するので、できれば公共交通機関をおすすめします。入場は基本的に無料。気軽に訪れられるのがいいですよね。日本100名城にも選定されているので、城めぐりが趣味の方はスタンプもお忘れなく。福岡城むかし探訪館や鴻臚館跡展示館、三の丸スクエアに設置されています。

ちなみに、福岡市は今後15年間で約70億円を投じて復元整備を進める計画なんだそうです。これから少しずつ、往時の姿が蘇ってくるかもしれませんね。楽しみです。

歴史と自然が調和する、福岡の心

福岡城跡は、単なる史跡ではなく福岡市民の憩いの場として今も生き続けています。天守閣の謎、重要文化財の建造物、四季折々の自然。訪れるたびに新しい発見がある場所なんです。都心にありながら広大な敷地を持ち、歴史を肌で感じられる貴重なスポット。桜の季節はもちろん、静かな秋の午後に散策するのもおすすめですよ。黒田長政が築いた城の面影を探しながら、のんびり歩いてみてはいかがでしょうか。きっと、福岡という街の奥深さを感じられるはずです。

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