博多ラーメンを食べに行くと、必ずと言っていいほどテーブルに置いてある紅生姜。なぜ豚骨ラーメンに紅生姜なのか、疑問に思ったことはありませんか?実はこの組み合わせ、単なる飾りや口直しではなく、ちゃんとした理由があるんです。臭み消し説、彩り説、そして地元ならではの食べ方の文化まで。今回は博多ラーメンと紅生姜の深い関係について、いろんな角度から掘り下げてみました。
紅生姜が博多ラーメンに登場した背景
博多ラーメンに紅生姜が使われるようになった理由には、いくつかの説があります。
一つは「豚骨の臭み消し」という説です。昔の豚骨スープは、今よりもずっと獣臭が強かったと言われています。というのも、昭和20〜30年代の豚の飼料は、今のようなトウモロコシ主体の配合飼料ではなく、食品工場の廃棄物や家庭の残飯が中心だったんです。だから、豚骨を炊いたときの臭いが強烈で、それを和らげるために紅生姜やゴマが使われるようになった、というわけです。です
もう一つは「彩り」を意識したという説です。福岡市高砂にある「のんきや」という店の二代目店主・大石峰生さんが、ラーメンを上から見たときに白と黒ばかりで寂しいと感じ、紅生姜を入れてみたのが始まりだとか。確かに、白濁したスープに茶色いチャーシュー、黒いキクラゲや海苔だけではちょっと地味です。そこに赤い紅生姜が加わると、一気に華やかになります。
正直、どちらが本当なのかははっきりしません。ただ、どちらの説にも共通しているのは「何か足りない」と感じた誰かが工夫した結果、今の形になったということです。それが地元に根付いて、全国の豚骨ラーメン店にも広がっていったんでしょう。
紅生姜と高菜、どう使い分ける?
博多ラーメンのテーブルには、紅生姜だけでなく辛子高菜も置いてあることが多いです。この二つ、どう使い分けるのが正解なんでしょうか。
紅生姜は、甘酸っぱさとシャキシャキした食感が特徴です。スープに混ぜ込むと、酸味がスープ全体に広がって、味が軽やかになります。脂っこさを感じたときや、後半で味に変化をつけたいときにぴったりです。逆に、入れすぎるとスープの味を邪魔してしまうので、加減が大事なんです。
辛子高菜は、ピリッとした辛味と油のコクが魅力。こちらはスープというより、麺に絡めて食べるのがおすすめです。麺と一緒にかき込むと、辛さと旨味が口の中で一体になって、これがまたクセになります。
ちなみに辛子高菜は、「のんきや」の店主がお客さんの要望で出し始めたのが広まったという説もあります。個人的には、最初の数口は何も入れずに食べて、中盤で紅生姜を少し、替え玉のタイミングで高菜を投入、というのが好きです。自分の好きなタイミングで、好きなだけ入れる。それが博多ラーメンの楽しみ方なんだと思います。
地元の人たちの実際の食べ方
ここで意外な事実を一つ。実は博多の地元民の中には、「最初から紅生姜を入れるのは邪道」という意見も根強くあります。
たとえば長浜ラーメンの老舗「長浜ナンバーワン」では、紅生姜は「口直し」として提供されているんです。要するに、ラーメンそのものの味を楽しんでから、途中で気分を変えるために使うという位置づけなんです。スープを濁らせたくない、豚骨本来の味を邪魔したくない、という考え方です。
ところが面白いことに、ある年配のお客さんは、紅生姜をガサッと最初から入れて豪快に食べていたそうです。これはこれで「地元の食べ方」の一つ。正解は一つじゃないんです。店によっても、人によっても、食べ方はバラバラなんですよね。
あと、替え玉を頼んだタイミングで紅生姜や高菜を足す人も多いとか。スープが薄まったり、味に飽きてきたりしたときに、アクセントとして追加するわけです。これ、理にかなってると思いませんか?最初の一杯目は素の味を楽しんで、二杯目からは自分好みにカスタマイズする。この自由度の高さが、博多ラーメンの魅力でもあります。
「ツウ」な食べ方にこだわる必要はない
ラーメンの世界には、「こう食べるのが通」みたいな暗黙のルールが時々語られます。麺は硬めがいい、スープは最初に一口、紅生姜は入れないほうが本物の味がわかる。でも、それって本当に正しいんでしょうか?
ある人が元祖長浜屋で、年配の常連客が最初から紅生姜をどっさり入れて食べているのを見て、衝撃を受けたそうです。それまで「紅生姜は邪道」と思っていたのに、明らかに自分より店に通っているであろう地元の人が、何の躊躇もなく入れている。これを見て、「ツウと言われる食べ方って、誰が決めたんだろう?」と気づいたと言います。
結局、ラーメンは自分が美味しいと感じる食べ方が正解なんです。店主がこだわって作ったスープの味を最初に確かめるのもいいし、最初から自分好みにカスタマイズして楽しむのもありです。他人が決めた基準に縛られる必要なんて、まったくないわけです。
そういえば麺の硬さも同じです。「バリカタ」が通っぽいと思われがちですが、実は消化の面では柔らかめのほうが胃腸に優しいという意見もあります。自分の体調や好みに合わせて選べばいいんです。それが一番です。
紅生姜は博多ラーメンの「自由」を象徴している
博多ラーメンに紅生姜が使われるようになった理由には、臭み消し説や彩り説などがありますが、どれが正解かははっきりしていません。ただ一つ言えるのは、それが長年愛され続けてきたということです。
そして地元の人たちの食べ方も実にバラバラで、それぞれが自分なりの楽しみ方をしている。ラーメンに「正しい食べ方」なんてありません。紅生姜を入れるのも入れないのも、あなたの自由です。自分が一番美味しいと感じる食べ方を見つけることこそが、博多ラーメンを楽しむ本当の醍醐味なのかもしれません。

