福岡の家賃相場は本当に上がっている?推移データから見る住まい探しのヒント

暮らす福岡

「福岡は家賃が安い」そんなイメージはもう古いかもしれません。ここ数年、福岡市内の家賃相場は右肩上がりで、特に博多区や中央区では、驚くような上昇率を記録しているエリアもあります。さらにデータをよく見ると、興味深い傾向が見えてきます。今回は福岡の家賃相場の推移を追いながら、これから住まいを探す人が知っておきたいポイントをまとめてみました。

福岡の家賃、この5年で何が変わった?

福岡の家賃がここまで上がるとは思っていませんでした。2020年頃までは「東京や大阪に比べて安い」というのが福岡の大きな魅力だったのです。

ところが2023年あたりから、特にシングル向け物件の相場がぐんと上昇ああし、博多区のワンルームマンションは、5年前と比べて約13%も値上がりしています。天神エリアに至っては14.3%の上昇率で、月6万円だった部屋が、今では7万円近くになっている計算です。

何がこの変化を引き起こしたのか。天神ビッグバンや博多コネクティッドといった大規模再開発が、確実に影響しているようです。

オフィスビルが増え、働く場所が増えた結果、そこで働く人たちの住まいの需要が高まった。需要と供給のバランスが崩れれば、家賃が上がるのは自然な流れです。

ちなみに、福岡市全体で見ると平均家賃は12,200円/坪(2025年10月時点)。これ、東京の75%程度の水準なんです。「それなら安いじゃないか」と思うかもしれませんが、10年前は70%程度だったことを考えると、東京との差が縮まっているのは明らかでしょう。

エリアで全然違う、福岡の家賃事情

福岡市と一口に言っても、区によって家賃相場はかなり違います。

中央区の1LDK~2DKが平均10.53万円なのに対し、東区は6.37万円。同じ福岡市内でも4万円以上の差があるんですよ。これって結構大きいですよね。年間にすれば50万円近い差になります。

博多区は8.58万円と中央区ほどではありませんが、やはり高め。JR博多駅周辺は特に顕著で、駅から徒歩10分圏内の物件は法人契約が多く、個人で借りようとするとなかなか厳しい価格帯です。

一方、南区や西区は比較的リーズナブル。それでいて地下鉄やバスのアクセスは悪くないので、「通勤時間が30分程度なら許容できる」という人には狙い目かもしれません。

あと面白いデータがあって、福岡市の人口は増え続けているのに、世帯あたりの人数は減っているんです。2016年は2.31人/世帯だったのが、2025年には2.10人/世帯に。単身世帯が増えているということは、ワンルームや1LDKの需要が高まる。だから家賃が上がる。なるほど、そういう構造なんですね。

「高い」って感覚、実は人それぞれ

ここで少し考えたいのが、「高い」「安い」の感覚です。

東京23区のワンルームが平均10万円を超える中、福岡で6〜7万円なら「安い」と感じる人もいるでしょう。でも福岡の平均年収や物価水準で考えると、決して楽な金額ではありません。特に若い世代や、これから福岡に移住しようと考えている人にとっては、家賃の上昇は切実な問題なんです。

家賃は収入の3分の1以内に抑えるのが理想、とよく言われますよね。手取り20万円なら6.6万円程度。ただ博多駅や天神近くで6万円台の物件を探すのは、今や至難の業。築年数が古い物件や、駅から少し離れた場所なら見つかるかもしれませんが、希望に合う物件は限られてきます。

そうなると選択肢は二つ。エリアを広げるか、賃貸ではなく購入を検討するか。実際、最近は「長く住むなら買った方が得」と考える方も増えているようです。福岡市内の新築マンション価格は確かに上がっていますが、低金利の住宅ローンを組めば、月々の支払いは賃貸と大差ないケースもあるんですよね。

これから福岡で住まいを探すなら

では、これから福岡で住まいを探す場合、どんなことを考えればいいでしょうか。

まず大事なのが、「絶対に博多駅・天神近く」という条件にこだわりすぎないこと。地下鉄沿線や西鉄沿線なら、少し離れても通勤は十分可能です。たとえば地下鉄七隈線の橋本駅周辺や、西鉄天神大牟田線の春日原駅あたりは、天神まで20分程度で着きますし、家賃相場も都心部より抑えられます。

それと、今後の生活設計を考えること。数年で転勤の可能性があるなら賃貸一択でしょう。でも福岡に腰を据えるつもりなら、購入も視野に入れて損はありません。特に家族がいる場合、子どもの学校のことを考えると、引っ越しを繰り返すより一箇所に定住する方がメリットは大きいかもしれません。

あと、空室率もチェックしておきたいポイントです。福岡ビジネス地区の平均空室率は4.93%(2025年10月時点)。これは決して高くない数字で、要するに「いい物件はすぐ埋まる」ということ。気になる物件があったら、早めに動いた方がいいですね。

ちなみに、賃貸住宅の空き家が福岡県全体で約18.9万戸あるというデータもあります。競合物件が多いということは、オーナー側も空室を埋めたいはず。交渉次第で家賃を下げてもらえる可能性もゼロではありません。余談ですが、閑散期(4月以降や12月など)は特に交渉がしやすいタイミングです。

家賃相場の上昇、悪いことばかりじゃない?

家賃が上がるのは、住む側からすれば負担増です。とはいえ見方を変えれば、それだけ福岡という街に魅力があり、需要が高まっているということ。

実際、福岡市の人口は2040年まで増加が予測されています。他の多くの都市が人口減少に悩む中、これは特筆すべきことです。人が集まる街は活気があり、新しい店やサービスも増える。街全体が発展していく様子を間近で感じられるのは、住んでいて楽しいものですよね。

しかも、家賃相場の上昇は不動産価値の上昇でもあります。もし将来、マンションを購入して住むことになったとして、その価値が維持されやすい、あるいは上がる可能性があるということ。資産形成の面から見れば、決して悪い話ではありません。

もちろん、全員が購入できるわけではありませんし、賃貸には賃貸の良さがあります。大事なのは、今の自分の状況と将来の計画に合わせて、最適な選択をすること。

データを参考にしつつも、最後は自分の感覚を信じていいと思うんです。

データと感覚、両方を大切にしたい

福岡の家賃相場は確かに上昇傾向にあります。でも、それは福岡が魅力的な街である証拠でもあるんですよね。数字だけ見ると不安になるかもしれませんが、エリアを少し広げたり、将来の選択肢として購入を考えたりすることで、道は開けてきます。大切なのは、自分にとって何が優先か。通勤時間か、家賃か、住環境か。答えは人それぞれです。データを参考にしながら、自分らしい住まいを見つけてください。福岡での新生活が、あなたにとって実り多いものになりますように。

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