福岡市の人口増加、その背景に何が?データで見る成長の秘密

暮らす福岡

地方都市の人口減少が叫ばれる中、福岡市は異例の人口増加を続けています。2024年時点で約166万人、政令指定都市で全国5位の規模に成長しました。実は福岡市の人口増加数は東京都区部に次いで全国2位。なぜ福岡だけがこれほど人を惹きつけるのでしょうか?天神ビッグバンや博多コネクティッドといった再開発だけでなく、そこには意外な理由がいくつも隠れていました。

数字が物語る福岡市の勢い

正直、福岡市の人口増加のペースには驚かされます。総務省の人口動態調査(2024年1月時点)によると、福岡市の総人口増加数は年間12,521人で全国第2位。1位の大阪市(16,055人)に次ぐ数字です。

ただ、ここで注目したいのは「日本人住民の増加数」。こちらでは福岡市が8,829人で全国トップなんです。2位のさいたま市(2,972人)を大きく引き離しています。何が違うのか。外国人住民の増加も3,692人で全国10位と多いんですが、それ以上に日本人、つまり国内からの転入者が圧倒的に多いということ。地方都市が軒並み人口流出に悩む中、福岡市は九州各地や関西、さらには首都圏からも人を吸い寄せているんですね。

ちなみに、社会増減数(転入と転出の差)でも全国3位の15,295人。これは「住みたい」と思って実際に引っ越してくる人が多いということです。偶然ではなく、明確な理由があるはず。

天神ビッグバンだけじゃない、本当の理由

「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」といった大規模再開発が注目されがちですが、実はそれだけが理由ではありません。

まず挙げられるのが、福岡市の「ちょうどいい規模感」。東京ほど混雑していないけれど、地方都市としては十分すぎるほど都会なんです。福岡空港から地下鉄で博多駅まで5分、天神まで11分というアクセスの良さ。これ、東京の羽田空港や成田空港と比べると驚異的でしょう。海外出張が多いビジネスパーソンにとって、この利便性は計り知れない価値があります。

それから、家賃の安さ。東京で同じ広さのマンションを借りようと思ったら、福岡の1.5倍から2倍近くかかります。給与水準は東京より低いかもしれませんが、生活コストを考えると実質的な可処分所得は意外と変わらない、という声もよく耳にします。

あと、食文化の豊かさ。これは数字には表れにくいものの、実際に住んでみると実感するポイントです。博多ラーメン、もつ鍋、水炊き、明太子…挙げればきりがない。しかも安くて美味しい店が多いんです。余談ですが、「道の駅 筑前みなみの里」なんて、平日でも駐車場が満車になるほどの賑わいだそうですよ。

単身世帯の急増が示すもの

福岡市の特徴として見逃せないのが、単身世帯の多さです。2020年時点で単身世帯は全世帯の51.9%。そして2050年には65.9%になると推計されています。要するに、3人に2人が一人暮らしという計算。

学生が多いのはもちろんですが、それだけじゃありません。20代後半から30代の若手社会人、そして意外なことに70代以上の高齢者も単身で転入してくるケースが増えているそうです。

福岡市内には大学が14校、学生数は7万人超。卒業後もそのまま福岡に残って就職する人が多く、しかも県外からも「福岡で働きたい」という転入者が後を絶ちません。一方で高齢者の転入については、医療機関へのアクセスの良さや、都市機能がコンパクトにまとまっていて車がなくても生活できる利便性が評価されているとか。若者と高齢者、両極端な層が同時に流入しているのは興味深い現象ですよね。おそらくこれが、福岡市の活気を支えているのでしょう。

2040年まで続く成長、その先にあるもの

国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、福岡市の人口は2040年まで増加が続くとされています。多くの地方都市が人口減少に転じる中、これは異例のこと。

背景にあるのは、福岡市が戦略的に企業誘致やスタートアップ支援に力を入れてきたことです。国家戦略特区「グローバル創業・雇用創出特区」として、スタートアップビザやエンジニアビザといった制度を活用。2023年度の開業率は5.3%と、政令市を含む21大都市の中で6年連続トップ。新しいビジネスが次々と生まれる土壌があるわけです。

雇用が生まれ、人が集まり、消費が増え、さらに投資が呼び込まれる。この好循環が回り始めている感じがします。

とはいえ、人口増加がずっと続くわけではありません。2040年以降はどうなるか、誰にもわからない。でも、今この瞬間、福岡市は日本で最も勢いのある地方都市の一つであることは間違いないでしょう。再開発で街の景色が変わり、新しいビルが次々と完成し、若い世代が集まってくる。その活気は、数字以上のものを感じさせます。あなたがもし地方移住を考えているなら、福岡市は有力な選択肢になるのではないでしょうか。

福岡市の成長は偶然ではない

福岡市の人口増加の背景には、大規模再開発だけでなく、交通アクセスの良さ、手頃な生活コスト、豊かな食文化、そして戦略的な企業誘致といった複数の要因が絡み合っています。単身世帯の増加が示すように、若者にとっても高齢者にとっても「住みやすい街」として選ばれ続けている。2040年まで人口増加が続くと予測される福岡市。その成長は、計画的な都市戦略と、住む人々の満足度の高さが生み出した結果と言えるでしょう。地方都市の未来を考える上で、福岡市の取り組みには大きなヒントが隠されています。

タイトルとURLをコピーしました