福岡市というと、なんとなくですが、住みやすいというイメージがあるのではないでしょうか。その「住みやすさ」がどこから来ているのか、都市構造という視点で見てみると、意外な発見があるのです。コンパクトシティとか立地適正化とか、ちょっと難しそうな言葉が並びますが、実は私たちの日常生活に直結している話なのです。福岡がどんな風にまちづくりを進めているのか、データや計画を紐解きながら、その魅力と課題を探ってみました。
福岡市が目指す「コンパクト+ネットワーク」って何?
福岡市では現在、都市計画マスタープランという長期的なまちづくりの指針を改定中です。平成26年に策定された現行計画から約10年、社会情勢も随分様変わりしました。
このマスタープランで重視されているのが「将来の都市構造」という考え方です。これは、都市をどんな形にしていくか、という設計図みたいなものです。
福岡市の場合、中心部に都市機能を集約しつつ、公共交通でネットワーク化する「コンパクト+ネットワーク」型を目指しているのです。実際、福岡市では、地下鉄やバスが充実していて、車がなくても割と生活できる都市だと感じませんか?それは偶然ではなく、こうした長期的な都市構造の考え方が背景にあるのです。でも、これを実現するには土地利用や交通体系、みどりづくり、景観、防災など、あらゆる側面から一体的に取り組む必要があります。
可視化ツールがまちづくりを変えている
最近、福岡県内の自治体で「都市構造可視化ツール」の活用事例がどんどん増えているのです。結構革新的な取り組みだと思います。
たとえば、北九州市では市街化区域の見直し検討に活用したり、宗像市では中学生向けの出前授業で使ったり、飯塚市は庁内データのGIS活用を進めているし、太宰府市では若手職員のまちづくり勉強会でも使っているそうです。
何が革新的かというと、従来の都市計画などは、専門家や行政職員だけが扱える難しい分野だったのですが、可視化ツールがあれば、視覚的に分かりやすくなるし、市民にも説明しやすくなります。確かに、「このエリアは高齢化が進んでいます」などと、口で言うより、色分けされた地図を見せた方が一目で伝わります。
春日市では都市計画マスタープラン策定のさいに、「可視化で『まち』の特徴をつかもう」というテーマで活用したそうです。こういう動き、もっと広がっていくといいのでは、と思います。データに基づいた合理的な判断と、市民参加型のまちづくり。両方を実現できる可能性があるのです。
都市計画基礎調査で見えてくる「まちの素顔」
都市の現状を把握するために欠かせないのが「都市計画基礎調査」というものです。これは、都市計画法で約5年ごとに実施することが決められている調査なのですが、人口や土地利用、建物の状況などを細かく調べています。
福岡県では平成28年度以降、各自治体でこの調査を実施していて、そのデータが「都市構造可視化計画」というウェブサイトで公開されています。これにより、4次メッシュ(500m四方)単位で人口分布や高齢化率、公共交通の利用圏域などが視覚的に分かるようになっています。
ちなみに福岡市の場合、平成29年度と令和4年度に調査が実施されていて、約5年間でどう変化したかも比較できるのです。駅周辺の人口増加とか、高齢化の進行具合とか、データで見ると「ああ、確かに」と納得できることが多いのです。一般市民がこのサイトを日常的にチェックすることは、あまりないかもしれませんが、自分の住んでいる地域を客観的に知るには良いツールだと思います。これには、誰でも無料でアクセスできるので、興味がある方は一度覗いてみてください。
地方都市の挑戦:田川市の事例
福岡市のような大都市だけではなく、地方都市も独自の都市構造改革に取り組んでいます。その一例が田川市です。
田川市では令和2年度に「都市再生整備計画(田川伊田駅周辺地区第二期)」を作成し、「都市構造再編集中支援事業」という国の支援制度を活用しています。この事業、ちょっと名前が長くて分かりにくいのですが、要は「コンパクトで災害に強い都市構造に作り変えましょう」という取り組みです。立地適正化計画に基づいて、都市機能誘導区域や居住誘導区域に公共施設などを集中的に整備することで、効率的なまちづくりを進めています。計画期間は令和2年度から令和6年度までの5年間です。
今日、地方都市の人口減少は深刻な問題です。そのため、今のうちにコンパクトな都市構造に転換しておけば、将来的なインフラ維持コストを抑えられる、という側面もあります。田川市のような中規模都市が、どう持続可能性を確保していくか、その試みは他の地方都市にとっても参考になるはずです。
これからの福岡、どうなる?
福岡市は今、都市計画マスタープランの改定作業を進めています。令和5年12月から「福岡市都市計画マスタープラン改定検討懇話会」を開催していて、専門家の意見を聞きながら検討を重ねています。令和7年10月からはパブリックコメントも実施されました。
改定の背景には、人口構造の変化や気候変動、デジタル化の進展など、様々な社会情勢の変化があります。第10次福岡市基本計画との整合性も図りながら、新しい時代に対応した都市構造を描いていく必要があるわけです。
個人的に注目しているのは、災害対策の視点がどこまで強化されるかということです。近年、豪雨災害が頻発していますし、地震のリスクもあります。コンパクトシティを目指すのはいいのですが、そのエリアが災害に弱ということになれば、本末転倒です。
もう一つ気になるのは、テレワークの普及で都心回帰が弱まるのか、それとも利便性の高い都心の魅力は変わらないのか、という点です。コロナ禍を経て、働き方も住まい方も多様化しています。その中で福岡がどんな都市を目指すのか、注目してます。おそらく答えは一つではないでしょうし、柔軟性も必要になってくると思います。
まとめ:データで見る、これからの福岡
福岡の都市構造を見てきましたが、いかがでしたか?都市計画など遠い世界の話に感じるかもしれませんが、実は私たちの生活に密接に関わっているのです。どこに住むか、どう移動するか、どんな公共サービスを受けられるか、すべて都市構造が影響しています。
可視化ツールの登場で、都市計画がより身近で分かりやすいものになってきました。これからは市民一人ひとりが自分の住むまちのデータを見て、まちづくりに参加していく時代になるのかもしれません。福岡がどんな未来を描いていくのか、これからも注目していきたいところです。

