本州と九州を隔てる関門海峡。実は、この海峡を歩いて渡れることをご存じですか?私も最初は「え、歩いて?」と驚きました。関門トンネル人道という海底トンネルを使えば、誰でも無料で気軽に海峡越えができるのです。所要時間は約15分です。この記事では、実際に渡る際の詳細な情報から、船やその他の移動手段まで、関門海峡の「渡り方」を徹底的にご紹介します。
関門トンネル人道って何?歩いて海峡を渡る唯一の方法
関門海峡を歩いて渡る。そう聞くと「どうやって?」と思いますが、答えは海底トンネルです。
関門トンネル人道は、山口県下関市と福岡県北九州市門司区を結ぶ全長約780mの歩行者専用トンネルです。昭和33年(1958年)に開通した、歴史ある施設なのです。海面下約50〜60メートルの深さを通っているというから驚きです。
面白いのは、このトンネルが二重構造になっていることです。上部が車道、下部が人道という作りです。要するに、あなたが海底を歩いている真上を、車がビュンビュン走っているわけです。ちょっと不思議な感覚です。
所要時間は片道約15分です。ゆっくり歩いても20分あれば十分でしょう。通行可能時間は朝6時から夜22時までなので、早朝や夜間の通行はできません。チェックしておいてください。
料金については、歩行者は完全無料、タダです。自転車や原付(50cc以下)は20円かかりますが、これも破格の安さです。しかも自転車は乗車禁止で、押して歩く必要があります。トンネル内は右側通行ですので、お忘れなく。
実際に歩いてみた!海底トンネル体験レポート
実際に歩いてみるとどうなのか。正直に言いますと、最初はちょっと不安でした。
エレベーターで地下に降りていくんですが、これが結構深い。下関側は地下約55m、門司側は約60mも降ります。エレベーターを降りると、そこはもう海底です。目の前に続くのは、ひたすら真っ直ぐな通路です。
トンネル内は照明がしっかりしていて明るく、清潔に保たれています。ただ、窓がないので当然ながら海の中は見えません。「もっと海中っぽい演出があれば」と思ったりもしますが、実用的な通路なのです。
歩いていると、通勤や買い物に利用している地元の方とすれ違います。中にはジョギングしている人もいます。地元の人にとっては日常の通路なんだなと実感します。
健康づくりのために往復している方もいるそうです。確かに、往復1.5kmちょっとの良い運動コースかもしれません。
トンネルのちょうど真ん中あたりに、山口県と福岡県の県境があります。床に大きく「山口県」「福岡県」と書かれていて、ここが絶好の記念撮影スポットです。多くの人が写真を撮っています。県境をまたいで撮るのが定番です。
ちなみに、トンネル内にトイレも自動販売機もありません。入る前に済ませておくことをおすすめします。
関門TOPPA!記念証をゲットしよう
せっかく海底を歩いて県境を越えたなら、記念に残したいところです。
下関側と門司側、両方のエレベーターホールにスタンプ台が設置されています。専用の台紙も置いてあるので、それに両方のスタンプを押すと、なんと一つの絵柄が完成する仕組みです。
この完成したスタンプを指定の場所に持っていくと、「関門TOPPA!記念証」がもらえるんです。下関側なら下関駅の観光案内所など、門司側なら旧門司三井倶楽部など、進呈場所はいくつかあります。記念証は全7種類あって、恋愛成就や健康祈願、合格祈願など、いろんなバージョンがあるそうです。旅の思い出にもなりますし、お子さんはきっと喜ぶでしょう。
進呈場所は複数ありますが、事前に確認しておくと安心です。関門海峡観光推進協議会のサイトに詳細が載っています。
船で渡るという選択肢:関門連絡船
歩くのもいいけれど、船で海峡を渡るのもまた格別です。
関門連絡船は、下関市の唐戸桟橋と北九州市の門司港桟橋を約5分で結んでいます。運賃は大人片道400円、小人200円です。日中は20分間隔で運航しているので、待ち時間もそれほど気になりません。
船からの眺めは本当に素晴らしいです。関門橋を見上げ、行き交う大型船を間近に感じながらの船旅は、わずか5分とはいえ非日常感たっぷりです。海風が心地よくて、つい笑顔になってしまいます。
個人的には、トンネルで歩いて渡って、帰りは船で戻るというルートがおすすめです。両方の魅力を楽しめます。
唐戸市場で海鮮を楽しんだ後、船で門司港レトロへ向かいます。そこで焼きカレーを食べて、帰りはトンネルを歩くというプランも素敵です。
ただし、天候によっては揺れることもあるので、船酔いしやすい方は注意して下さい。特に冬場の海峡は波が高いことがあります。
その他の渡り方:電車、新幹線、車
関門海峡を渡る方法は他にもいくつかあります。
JR山陽本線なら、下関駅から門司駅まで約7分、運賃は230円。普通の電車で海底トンネルを通過します。地元の方が通勤通学に使っている路線です。特に車内アナウンスがあるわけでもなく、あっさり通過するので、「え、今の海峡?」という感じかもしれません。
新幹線なら新下関駅から小倉駅まで約9分です。こちらは「新関門トンネル」という別のトンネルを通ります。とはいえ、「のぞみ」は新下関駅に停まらないので注意が必要です。
車で渡る場合は、高速道路の関門橋(下関IC〜門司港IC)か、国道2号の関門トンネルを使います。関門橋は高速道路なので歩行者は通れませんが、車からの眺めは抜群です。めかりパーキングエリアや壇之浦パーキングエリアからは、関門海峡を一望できます。
国道2号の関門トンネルは有料道路で、普通車160円です。こちらもトンネルですが、門司側の入口には大きなふぐの絵が描かれていて、下関らしさを感じられます。
あと、このトンネルはETCが使えないので、料金所で現金またはクレジットカードでの支払いになります。目的に応じて、いろんな渡り方を選べるのが関門海峡の面白いところです。
周辺の観光スポットも見逃せない
関門海峡周辺には、訪れるべき場所がたくさんあります。
下関側なら、なんといっても唐戸市場です。新鮮な海鮮が並び、週末には「活きいき馬関街」という市場寿司のイベントが開催されます。お寿司を1貫から気軽に買えて、海峡を眺めながら食べられるなんて最高です。市立しものせき水族館「海響館」も歩いてすぐです。
みもすそ川公園には、源義経と平知盛の像があり、壇ノ浦の戦いの歴史を感じられます。関門橋を間近に見られるスポットでもあって、写真映えもバッチリです。関門トンネル人道の下関側入口近くには「関門プラザ」という資料館もあって、トンネルや関門橋の建設に関する展示が無料で見られます。子どもの自由研究にも良さそうです。
門司側は門司港レトロ地区です。大正ロマン溢れる建物が並び、散策するだけでも楽しいです。門司港名物の焼きカレーは絶対に食べておきたいところです。旧門司三井倶楽部や門司港駅舎など、歴史的建造物も見応えがあります。
おそらく、両岸合わせて1日では回りきれないくらい見どころがあると思います。時間に余裕を持って訪れることをおすすめします。
関門海峡を歩いて渡る旅、あなたも挑戦してみては?
関門海峡を歩いて渡るという体験は、一度やってみる価値があります。所要時間は約15分、料金は無料です。気軽にチャレンジできるのが魅力です。海底トンネルという非日常空間を歩き、県境をまたいでみる、そんなシンプルだけど特別な経験が、ここではできるんです。船で渡るのもまた趣があって、どちらも捨てがたいです。欲張りなあなたは両方試してみてください。周辺の観光スポットも充実していますから、関門海峡エリアでの1日は、きっと思い出深いものになるはずです。さあ、次の休日は関門海峡へ。海峡を越える冒険が、あなたを待っています。

